vol.809 自分で調べた円空仏現存の実数


 ブログ「Stay The Young (Trilogy)」をお読みいただき、ありがとうございます。

 円空上人に関する本を読むと、今までに発見された円空仏は5300体余りと書かれている。一方で、本当にそうなのだろうかという疑問をずっと抱いていた。5300体余りは円空上人を研究する人たち(主に円空学会)が確かめた数であって、その一つひとつを詳らかにしていないことから(所蔵者の住所・氏名等)、それが果たして事実かどうかも確認できず、ましてや自分で数を数えたわけでもない。
 以下は僕が自分で調べた円空仏の現存数で、確認に際しては、寺社はもちろんのこと、各地の教育委員会や文化財を扱う担当課にお世話になりました。
 北から順に記すと、

 北海道  53
 青森県  19
 秋田県  12
 山形県  1
 宮城県  1
 新潟県  2
 群馬県  16
 栃木県  18
 茨城県  4
 千葉県  1
 埼玉県  170
 東京都  27
 神奈川県  4
 静岡県  7
 長野県  21
 富山県  33
 岐阜県  1397
 愛知県  3197
 三重県  31
 滋賀県  11
 奈良県  19
 京都府  3
 大阪府  1
 兵庫県  4
 愛媛県  1

 となっており、現存する円空仏の総数は5062体でした。
 2週間以上も掛かってしまいましたが、どうにか自分に出来る限られた範囲内ながらも、こうして確かめ終えたことで、嬉しいと同時に安堵しています。
 調べた際には、多数の文献を参照しましたが、とりわけ以下の文献(雑誌等を省略)が有益でした。

 堺比呂志著『円空仏と北海道』(北海道出版センター)
 埼玉県立歴史と民俗の博物館編集発行『円空こころを刻む』
 後藤英夫著『岐阜県の円空仏』(岐阜郷土出版社)
 羽島円空顕彰会編集発行『羽島市の円空仏写真集』
 美濃加茂市民ミュージアム編集発行『みのかもの円空仏』
 上宝村教育委員会編集発行『かみたからと円空』
 神岡町文化財審議会編『神岡の円空仏』(神岡町教育委員会発行)
 小竹隆夫著『南飛騨の円空佛』(益田郡萩原町発行)
 長谷川公茂編・写真『愛知県の円空仏』(郷土出版社)
 市橋芳則著「師勝町の円空仏について」『師勝町歴史民俗資料館研究紀要3』(師勝町歴史民俗資料館)
 長谷川公茂著『円空の生涯』(人間の科学新社)
 梅原猛著『歓喜する円空』(新潮社)
 

 現存する円空仏は約5000体。なれど、円空上人が十二万体を彫ったのは間違いないだろう。いや、それ以上かもしれないと僕は思っています。文献(『浄海雑記』の「十二万」)や墨書(「十マ仏作巳」)を証拠として、わざわざ挙げなくても、僕の円空彫りの師匠であった故Yさんは数年間で2万体の模刻を彫り上げ、僕もこれまでに5千体以上の模刻を彫ることができたから。

2 件のコメント:

  1. 大変に参考となる研究をありがとうございました。基礎資料の研究は大切ですね。

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    1.  お返事が遅くなってしまい、申し訳ありません。コメント、ありがとうございました。
       @shanghai

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