vol.815 続 自分で調べた円空仏現存の実数


 ブログ「Stay The Young (Trilogy)」をお読みいただき、ありがとうございます。

 少し前の更新(vol.809)で、「自分で調べた円空仏現存の実数」と題して、自分に出来る限られた範囲内ながらも、全国に遺る円空仏を調べてみた。その後、いくつかの資料を加えることができて、再度数え直してみたら、約5100体であった。
 北から順に記すと、

 北海道  52
 青森県  19
 秋田県  12
 山形県  1
 宮城県  1
 新潟県  2
 群馬県  16
 栃木県  18
 茨城県  3
 千葉県  1
 埼玉県  175
 東京都  29
 神奈川県  4
 静岡県  7
 長野県  22
 富山県  32
 石川県  1
 岐阜県  1436
 愛知県  3209
 三重県  31
 滋賀県  11
 奈良県  19
 京都府  3
 大阪府  2
 兵庫県  4
 愛媛県  1

 となっています。
 円空仏の(確認された)現存数については、文献で約5200体余りと書かれていることが多く、人によっては5300体と公言しているようだが、にわかには信じられないというか、どうしても鵜呑みにできなくなった。存在しない円空仏をカウントして、水増ししているとしか思えない。
 以下に具体的な事例として、円空仏が多数存在する東海3県を挙げると、

 三重県内において、円空学会に関係する資料では、40体以上の円空仏の数字(だけ)が記されている。しかし、僕が調べたところ、三重県内に円空仏は31体しか存在せず、9体以上の差がある。

 愛知県内において、円空学会に関係する資料では、3230体以上の円空仏の数字(だけ)が記されている。しかし、僕が調べたところ、愛知県内に円空仏は3209体しか存在せず、20体以上の差がある。

 岐阜県内において、円空学会に関係する資料では、1650体前後の円空仏の数字(だけ)が記されている。しかし、僕が調べたところ、岐阜県内に円空仏は1436体しか存在せず、200体以上の差がある。

 上の数字はもちろん僕が調べ足りていないこともあるのだろう。しかし、それにしても数が違い過ぎる。たとえば市町村などで、文化財に指定されていない個人所蔵の、公になっていない円空仏が多々あるとしても。
 結論としては、やはり5300体は言い過ぎで、根拠のない(確認できない)数だけが独り歩きしている。
 下の写真は冒頭に記した「いくつかの資料」の内の2冊で、『近代の美術』16には、橋本平八が円空仏を入手した際の彼の日記が紹介されており、面白く読みました。
 

 円空仏に関する書籍は驚くほど多数出版されている。しかし、本当に役に立つ正確で有用な資料は実に少ないことを改めて認識しました。

0 件のコメント:

コメントを投稿