vol.817 丸山尚一著『円空風土記』(読売新聞社)を読んで


 ブログ「Stay The Young (Trilogy)」をお読みいただき、ありがとうございます。

 数日前のことになりますが、1971年に出版された丸山尚一著『円空風土記』(読売新聞社)を再読しました。
 実を言うと、10年くらい前にページをめくって、ところどころを拾い読みしていたのですが、今回はちゃんと目を通しました。
 

 今現在、本書を手にするとしたら、丸山氏が1994年に出版された『新・円空風土記』(里文出版)になると思います。
 下に並べたのが目次で、

  1 円空のなかの風景風土
  2 北辺での造像
  3 下北、津軽から羽後へ
  4 東国の修験寺、日光山修験と日光街道
  5 木曽路
  6 尾張野の円空寺
  7 美濃から奥美濃へ
  8 津保街道
  9 飛騨街道、益田街道
  10 飛騨
  11 奥飛騨
  12 伊吹山とその周辺
  13 志摩と吉野
  14 円空彫刻の魔術的魅力

 となっています。
 『新・円空風土記』(里文出版)については、梅原猛著『歓喜する円空』(新潮社)に以下のように記されており、少し引用すると、

 いま一書、円空仏の事典のようなものがある。それは丸山尚一氏の『新・円空風土記』(里文出版、一九九四年)である。丸山氏も長谷川氏や小島氏とともに各地にある円空仏を遍く訪ねた研究者である。丸山氏には詩人的な素質も多分にあり、各地の円空仏を訪ねた記録にはその感動が込められていて興味深い。しかし丸山氏には仏教に対してほとんど理解がなく、そのせいであろう、仏像の制作年代についての認識が甚だ甘いのが惜しまれる。

 上記の引用箇所を一読すると、どうしてもマイナスのイメージを受ける。なるほど円空仏の制作年代についての間違いがあったりして、確かに梅原氏がご指摘のとおりで、反論の余地はない。しかし、円空学会が出版する『円空研究』の各巻に掲載されている論文と称した文章よりも、大いに参考になる箇所が今の僕にとっては多々あった。何よりも丸山氏が「各地にある円空仏を遍く訪ねた」という強みは揺るがない。

 以下は余談。
 ブログの更新を怠っていたわけではなく、むしろ書きたいこと、書いておくべきことは毎日のようにあるのだけれど、それがいつも決まって心弾むような楽しい話題とは限らないから。

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