Vol.3 あってもなくてもいいような独白


 今、午前3時半だ。
 いつものように窓から夜空を見上げれば、星がきれいに輝いている。近所の家並みを眺めれば、ところどころに明かりがついていた。
 例によって、夜中でも、夜明けでも、目が覚めれば、起きてしまうことにしている。早起きだと自認していたが、世間ではそうでもないらしい。
 これと言って、何をするわけでもなく、夜が白んでくるのを待つのもいい、などと書けば、格好良いが、実際は違う。
 眠い。
 そんなタイトルの短編小説があったはずだ。
 確か作者はロシアの作家で、チェーホフ。
 

 『ねむい』(神西清訳)の冒頭、「夜ふけ。十三になる子守り娘のワーリカが、赤んぼの臥ている揺りかごを揺すぶりながら、やっと聞こえるほどの声で、つぶやいている。ねんねんよう おころりよ、唄をうたってあげましょう」。
 そして、(未読の方のために書かないけれども)短編小説のお手本のような、恐ろしくも、切ない、あの結末。
 働かない頭で、気休めにもならないことを書いているのは滑稽だと思いつつ、これを書いている。

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