Vol.218 『エチオピア語エノク書』を読んで


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 以前の更新(Vol.215)で書いたとおり、『使徒教父文書』を読み終えたことから、次に『旧約聖書外典』を手に取りました(この場合のそれら2つは講談社文芸文庫を指しています)。
 

 関根正雄編『旧約聖書外典』(講談社文芸文庫)の上巻には、「第一マカベア書」、「ユデト書(抄)」、「トビト書」、「三人の近衛兵」、「ベン・シラ」が、下巻には、「スザンナ」、「ベールと龍」、「ソロモンの知恵」、「第四エズラ書」、「エノク書」が収録されています。その中で、「第一マカベア書」、「ユデト書」、「トビト書」、「三人の近衛兵」、「ベン・シラ」、「スザンナ」、「ベールと龍」、「ソロモンの知恵」は日本聖書協会の新共同訳において、既に読了。残すは「第四エズラ書」と「エノク書」となっていることから、はじめに「エノク書」を読みました(10日の午前中)。
 

 さて、関根正雄編『旧約聖書外典』(講談社文芸文庫)の下巻に収録されている『エノク書』については、巻末に付された解説に「このように複雑で、大部な書物を限られた紙数で全訳するのは困難であるし、主題の重複や類似も多いので、取捨するのに苦労した(以下、略)」とある。
 したがって、ここで取り上げる『エノク書』は第一~一〇八章の全訳ではなく、以下の箇所(章;節)が翻訳されていた。
  1~5、12~19、21~22、24~54;6 55;3~58、61~64、69;26~71、85~90;12、90;37~42、91;12~17、93。
 また、「108章はさらに五部にまとめられている」とあって、
  1、エノクの旅(1~36章)
  2、エノクのたとえ(37~71章)
  3、太陽と月の運行(72~82章)
  4、世界の歴史と運命に関わる幻(83~90章)
  5、十週の黙示その他(91~108章)
 に区分される。
 今後、機会があれば、全文(全訳)に目を通さなければならない。『エノク書』は通常、『エチオピア語エノク書』か、もしくは『第一エノク書』と呼ばれていることから、ここでは『エチオピア語エノク書』と表記する。
 ようやく本題(まとめ)に突入。
 ブルトマンが論文で取り上げている『エチオピア語エノク書』の箇所を拾い読みすると、「義」や「義人」といった言葉が目に付いた。
 僕の印象に残った聖句は2;2、18;1、18;14、32;6、40;9、41;4、85;2で、大雑把に言えば、黙示文学らしく、エノクの見た幻(夢)に天使が答えるといった内容であった。
 エノクの名前が出てくるのは『創世記』、『歴代誌上』、『ルカによる福音書』、『ヘブル人への手紙』、『ユダの手紙』、『シラ書』である。

 『創世記』(5;24) エノクは神とともに歩み、神が彼を取られたので、いなくなった。
 『ヘブル人への手紙』(11;5) 信仰によって、エノクは死を見ないように天に移された。神がお移しになったので、彼は見えなくなった。彼が移される前に、神に喜ばれた者と、あかしされていたからである。

 『ユダの手紙』14節以下には、『エチオピア語エノク書』の1;9、5;4、27;2、60;8、93;2が引用されているという。

 『ユダの手紙』
 14 アダムから七代目にあたるエノクも彼らについて預言して言った、「見よ、主は無数の聖徒たちを率いてこられた。
 15 それは、すべての者にさばきを行うためであり、また、不信心な者が、信仰を無視して犯したすべての不信心なしわざと、さらに、不信心な罪人が主にそむいて語ったすべての暴言とを責めるためである」。
 16 彼らは不平をならべ、不満を鳴らす者であり、自分の欲のままに生活し、その口は大言を吐き、利のために人にへつらう者である。

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