ブログ「Stay The Young (Trilogy)」をお読みいただき、ありがとうございます。
円空上人に関する本を読むと、今までに発見された円空仏は5300体余りと書かれている。一方で、本当にそうなのだろうかという疑問をずっと抱いていた。5300体余りは円空上人を研究する人たち(主に円空学会)が確かめた数であって、その一つひとつを詳らかにしていないことから(所蔵者の住所・氏名等)、それが果たして事実かどうかも確認できず、ましてや自分で数を数えたわけでもない。
以下は僕が自分で調べた円空仏の現存数で、確認に際しては、寺社はもちろんのこと、各地の教育委員会や文化財を扱う担当課にお世話になりました。
北から順に記すと、
北海道 53
青森県 19
秋田県 12
山形県 1
宮城県 1
新潟県 2
群馬県 16
栃木県 18
茨城県 4
千葉県 1
埼玉県 170
東京都 27
神奈川県 4
静岡県 7
長野県 21
富山県 33
岐阜県 1397
愛知県 3197
三重県 31
滋賀県 11
奈良県 19
京都府 3
大阪府 1
兵庫県 4
愛媛県 1
となっており、現存する円空仏の総数は5062体でした。
2週間以上も掛かってしまいましたが、どうにか自分に出来る限られた範囲内ながらも、こうして確かめ終えたことで、嬉しいと同時に安堵しています。
調べた際には、多数の文献を参照しましたが、とりわけ以下の文献(雑誌等を省略)が有益でした。
堺比呂志著『円空仏と北海道』(北海道出版センター)
埼玉県立歴史と民俗の博物館編集発行『円空こころを刻む』
後藤英夫著『岐阜県の円空仏』(岐阜郷土出版社)
羽島円空顕彰会編集発行『羽島市の円空仏写真集』
美濃加茂市民ミュージアム編集発行『みのかもの円空仏』
上宝村教育委員会編集発行『かみたからと円空』
神岡町文化財審議会編『神岡の円空仏』(神岡町教育委員会発行)
小竹隆夫著『南飛騨の円空佛』(益田郡萩原町発行)
長谷川公茂編・写真『愛知県の円空仏』(郷土出版社)
市橋芳則著「師勝町の円空仏について」『師勝町歴史民俗資料館研究紀要3』(師勝町歴史民俗資料館)
長谷川公茂著『円空の生涯』(人間の科学新社)
梅原猛著『歓喜する円空』(新潮社)
現存する円空仏は約5000体。なれど、円空上人が十二万体を彫ったのは間違いないだろう。いや、それ以上かもしれないと僕は思っています。文献(『浄海雑記』の「十二万」)や墨書(「十マ仏作巳」)を証拠として、わざわざ挙げなくても、僕の円空彫りの師匠であった故Yさんは数年間で2万体の模刻を彫り上げ、僕もこれまでに5千体以上の模刻を彫ることができたから。