vol.762 「こころの時代」の余話(三)と円空の母親の形見の鏡


 ブログ「Stay The Young (Trilogy)」をお読みいただき、ありがとうございます。

 前回からの更新(vol.761)の続きで、NHKのEテレで放送された「こころの時代~宗教・人生~ ほほえみの秘密 円空仏とともに歩んで」について、長谷川先生の口から直接お聞きした番組の余話を書き記すことに。今回で3回目となりました(これで最後とします)。
 円空さんの母親の形見である鏡について。

 あさことに 鏡の箱に かげ見えて 是ハふた世の 忘れ形見に (円空歌集 445)

 鏡の中に母親の面影を見い出す円空さんの心は幼少期より深い悲しみに包まれていたことから、母親の菩提を弔うため、十一面観音菩薩像を彫り、像の胎内に母親の形見の鏡などを納めました(写真は中観音堂から許可を得て撮影しており、無断転載を禁じます)。
 

 さらに円空さんの母親に対する想いは『大般若経』の修復後、「歓喜沙門」となり、『法華経』の女人成仏において昇華されます。
 中観音堂を管理する地元の人たちに長谷川先生も立ち会い、最初に鏡を取り出した際の経緯を僕はお聞きしていたことから、後に自分で目にした感激も一入大きかった。
 十一面観音菩薩像の像内納入品に関しては、長谷川先生と東京国立博物館主任研究員の三田覚之氏の見解が同じくEテレで放送されたETV特集「円空 仏像に封印された謎」にて取り上げられています。
 番組の終盤、施しについて、長谷川先生が語られていました。他にも円空の芸術性等について話されたそうですが、「放送されませんでした」とのこと。番組のサブタイトルに「宗教・人生」とあることから、当然かもしれません。
 最後に円空上人の心を伝える会の冊子が紹介されました。NHKチーフディレクターであるH様の粋な番組構成と僕は感心しました。
 番組余話を書くはずが、終いには僕の感想文となってしまいました。

 以下は余談。
 鏡を取り出した際の経緯を書き残しておくと、従来の十一面観音菩薩像の制作時期に異を唱える人が現れたり、母親の菩提を弔うため、十一面観音菩薩像を彫り、像の胎内に母親の形見の鏡などを納めたことを否定する人がいたりして、中観音堂を管理する地元の有志数名が真実を知りたいと願う気持ちが発端となりました。

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