vol.396 僕のドングリ拾い


 ブログ「Stay The Young (Trilogy)」をお読みいただき、ありがとうございます。

 クヌギなどの落葉樹のドングリを拾うために木々の間へ分け入って行くと、子どもの頃に幾度も耳にしていた落ち葉を踏む足音が懐かしく聞こえる。
 それが自分の足音だと分かっていても、少し気味悪く感じるのは、なぜだろう。
 同じように感じているのは、どうやら僕だけではないらしい。

 むさし野に秋が来ると雑木林は恋人の幽霊の音がする(西脇順三郎「旅人かへらず」)

 詩人は何と上手に表現するのだろうと感心した。
 今の時期、アラカシやシラカシの木の下では、近くでドングリの落ちる音がしたかと思うと、上から降って来て、頭や体に当たる。
 夢中でドングリを拾っていて、ふと、自分の足を見ると、いつのまにか「ひっつき虫」などと呼んでいる、いわゆる植物のタネ(今回の場合はアレチヌスビトハギ)が靴とズボンにくっついていた。
 

 こうしてドングリの話題を綴ることで、僕の中では、季節はまだ秋のつもりでいて、実際、身近な場所の紅葉も大半が見頃だ。けれども、街を歩けば、冬の服装、イルミネーション、クリスマスの飾り付け等で、世間はすっかり冬らしく、僕はまた遅れてしまった(少し補足しておくと、vol.324 ~ vol.326 に書いたとおり、僕の場合、今年の夏は9月から始まり、一と月遅れの夏を過ごしました)。

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