Vol.215 『ポリュカルポスの手紙』と『ポリュカルポスの殉教』を読んで


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 7日の午後、前回の更新(Vol.214)で取り上げた『ヘルマスの牧者』に続き、『ポリュカルポスの手紙』と『ポリュカルポスの殉教』をざっと読んだ。「ざっと」の理由としては、巻末に付された訳者の解説に「ただし、(『ポリュカルポスの殉教』の)原文がきざな内容であるから、訳文の文体は好んでさぎな安手の文体にした」とあり、文章にとって、文体はとても大事である、という僕の考えから、熟読しなかった。
 『ポリュカルポスの手紙』と『ポリュカルポスの殉教』を同列に論じるのは間違っているかもしれないが、ここでは都合上、そうさせていただく。
 『ポリュカルポスの手紙』は「ピリピに寄留する神の教会」へ宛てられている。
 ブルトマンの論文においては、『手紙』が『殉教』より圧倒的に多く取り上げられている。『手紙』は2;1と7;1~2が多数引用されている。『殉教』は7;2、7;3、14;2、19;2を取り上げている。
 ブルトマンによれば、『ポリュカルポスの手紙』は「本質的には道徳的訓戒を内容としているが、この世から離れて将来への希望によって規定されているようなキリスト教の記録である。(中略)キリストが『義の手付金』とされているのは特色がある」。訓戒が「この手紙の全体を一貫している」。「それ故、一貫してキリスト者の生は戒めの実行とこの世を捨てる歩みによって、将来の救いに備えをすることと理解されている」と指摘する(『著作集5』104~106ページ)。
 

 『ポリュカルポスの手紙』と『ポリュカルポスの殉教』のどちらにも親切に翻訳者による小見出しが付いていることから、参考のために章・節の確認を兼ねて、それを引用しておく。

  『ポリュカルポスの手紙』
 挨拶
 ピリピ教会の現状についての感謝 1;1~3
 一般的な訓戒 2;1~3
 ピリピ教会とパウロ 3;1~3
 家庭・教会訓 4;1~3、5;1~3、6;1~3
 異端の教え 7;1~2
 キリストの忍耐 8;1~2
 殉教者のこと 9;1~2
 正しい信仰者と脱落者 10;1~3、11;1~4、12;1
 結びの祈り 12;2~3
 イグナティオスの手紙について 13;1 
 結び 14;1

  『ポリュカルポスの殉教』
 序
 殉教について 1;1~2;1
 殉教者の高貴さ 2;2~4
 ゲルマニクスの勇気 3;1~2
 クイントスの裏切り 4;1
 ポリュカルポスの避難 5;1~2
 イエスの受難との類似 6;1
 逮捕 7;1~3、8;1
 治安長官ヘロデ 8;2~3
 競技場にて総督の訊問 8;3、9;1~2、10;1~2、11;1
 焚刑の決定 12;1~3
 処刑準備 13;1~3、14;1
 最後の祈り 14;1~3
 処刑 15;1~2、16;1~2
 聖死体の処理 17;1~3、18;1
 あとがき 19;1~2、20;1~2
 後の読者が付け加えたメモ 21;1
 写本家の付記 その一 22;1~3
 写本家の付記 その二 22;1~5

 下の写真はテキストとして使用した荒井献編『使徒教父文書』(講談社文芸文庫)の目次で、先月25日から読み始めて、今月7日に完読したことから、敬虔なキリスト者ならば、きっとそうするだろうと思い、最後に訳者5名へ感謝の言葉を記したい。
 

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