Vol.156 続 神谷美恵子著『生きがいについて』(みすず書房)を読んで


 ブログ「Stay The Young (Trilogy)」をお読みいただき、ありがとうございます。

 前回の更新(Vol.155)からの続きで、今の僕にとって、大切なことを教えてくれた箇所を挙げておきたい。

 「運命というものは、必ずしも人間にとって悪いものばかりをもたらすわけではないのだが、人間の身勝手な性質として、いいことはとかくあたりまえなこととしてうけとりがちである。たとえば、私たちが悪い病気にもならず、毎日を親しい者のなかで平和に暮らせるということ、それをひとつとってみてもまったくふしぎな『まわりあわせ』で、だだ好運というよりほかない」(本書97ページ)。

 「現在、ある目標にむかって熱中しているひとを眺めるとき、その同じ性質をもってして、どんなほかの形の人生をかたちづくりえたか、と考えてみるのは興味のつきないことである。それは、人生における偶然や運命や決断などの役割に、深く思いをひそめさせる機会でもある」(本書181ページ)。
 
 「らい園というところは、どこでも宗教がさかんで、諸宗教の礼拝堂がせまい地域内にいくつも共存しているのが特徴である。(中略)ことに病める者として、この友愛による助け合い、支え合いがどれほどの力になることか。これだけでも宗教はうしなわれた生きがいの代償として、りっぱに成立しうる」(本書226ページ)と、これに続く「積極的な生きがいとしての宗教」(本書228~232ページ)。
 

 「おわりに」と題したあとがきの冒頭、「この本をかきはじめてからいつのまにか七年もたってしまった」とあった。続く付記には「らいの存在をはじめて知った」経緯、そして「このらい園で精神科医として働くことは私の大きな生きがいの一つである」と結んでいる。7年間の時を経て、書かれたという本書もまた、著者が指摘するように「まわりあわせ」や「時間」の賜物であったのだろう。

 以下は余談。
 今日の午後は一昨日に新しく作ったメガネを受け取りに行きました。
 

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